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――――荷物を父さんの部屋に運ぶ作業を終わらせた俺と紫は、それぞれの部屋の前で別れると、就寝の挨拶をしてから寝床についた。
いつも通りだった。
――ここまでは。
まず異変に気づいたのは父さんの部屋の隣で寝ていた俺だった。
ゴン……ゴン……ゴン……
「…………ん?」
ゴン……ゴゴン……ゴン……
「……なんだ? 何の音だ?」
奇妙な音に耳を澄ませる。その音はどうやら父さんの部屋から聴こえてきているようだった。
「……まさか、泥棒!?」
嫌な予感が頭をよぎる。いざというときの為に常備しておいた金属バットを手に取る。
そしてゆっくり部屋のドアを開けると、隣の部屋で寝ていたはずの紫が部屋から少しだけ顔を出しながら、心配そうな顔で訊いてきた。
「お兄ちゃん……さっきから聞こえる音は何? もしかして……」
「……それをこれから確かめに行く。 紫はどうする?」
俺がそう訊くと、紫は小走りで俺の側に来ると袖を掴んできた。……可愛い。
「……分かった。 俺より前には出るなよ?」
紫が頷くのと同時に俺は少しずつ父さんの部屋へと寄っていく。
ゴン……ゴン………ゴン……
未だに謎の音は続いている。俺は紫に目を配らせてから、唾を飲み込み、そして……ドアを思い切り開いた。
「おいっ!! 誰だっ!!」
バァンッ!!という大きな音ともにドアが開かれると、それと同時に謎の音が止んだ。
急いで電気をつけるが、部屋の中には5年分の選別した荷物が置かれているだけで、人影は全く見当たらない。
「……まぁ、誰だ!!って言って、俺だ!!って出てくるわけないわな。」
俺は部屋全体を見渡してから紫に向き直ると言った。
「紫、お前は部屋には入らないで部屋全体を見ててくれ。 何か異変があったらすぐ知らせるんだ。」
「う、うん。 気を付けてね、お兄ちゃん。」
不安そうな顔をしながらも頷いた紫を残し、俺は一人部屋の中へと足を踏み入れる。
……取り敢えずあそこから調べるか。
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