第1章

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それが、このところ、 春之助と出会う前ぐらいからか、 紅に反応するようになってきていた。 モノトーンのフォトの中に一点だけ 赤の配色をした加工プリントのように、 そこに、反応するようになっていた。 赤は赤でも、真紅、 ---ワインレッドの赤--- 調度品もクッションカバーを 真紅のビロードで一斉に取り揃えたり、 パステルばかりを好んでいた 花も、濃い真紅に 惹かれ始めるようになっていた。 その感覚の入れ替えは、 いままで干潮だった海に 急激に潮が押し寄せ、満ちてくるのに似ていた... とは言っても、 赤いルージュにはまだまだ抵抗があったけれど....
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