第1章

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僕が予想した通り放課後には雨が降った。 担任の挨拶を最後に教室内の生徒は散らばり帰路についた。 ざわつくこの瞬間が嫌いだ。 耳障り過ぎて僕は思わず顔をしかめてしまった。 机から離れ僕は一人図書館へと足を運んだ。 放課後そこで勉強をするのが今の日課になっている。 この時間帯になると流石にもう人はほぼいない、扉を開けて目のあった先生に軽く会釈をする。 窓側の後ろから3番目の席が僕の特等席だ。 奥にあるためか人がよってこないし静かでいい。 そこに座る前に本棚から2冊ほど教材を借り、席についた。 数学のノートを開き一人黙々とシャーペンを滑らせる。 それは楽しいかって? まさか楽しいわけがない。 ただこうしてなにも考えず知識を頭に詰め込む作業が楽なだけだ。 僕は周りの生徒のように友人と無意味に駄弁る事を好まないし、相手の機嫌を窺いながら話すのが好きじゃない。 正直人と接するのが面倒なんだ。 かといって苛めに合っているわけでもない、必要なときは声をかけられるし挨拶くらいはする。 一時間程そうしていると流石に外が暗くなってきてしまった、そろそろ下校する時間かもしれない。 何気なく窓に目を向ければ弱くも
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