第1章

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暑いめっちゃ蒸し暑い なんなんだ今日は、午後から雨降るとか嘘だろ と俺は窓から空を睨み付けた。 さっきから訳のわからない数学の公式を淡々と黒板に書いていくだけの授業に飽きていた。 ただぼーっと窓の外をみている。 机に突っ伏してるから端から見たら寝てると勘違いされそうだわ。 構わん。 真面目に授業を受けるきなんてさらさらない、単位がほしいからここにいるだけだ。 窓の隙間から入り込んだ生ぬるい風が俺の頬を撫でる。 (ああ…そろそろ夏が来るんなあ) 土と雨が混ざったそんな臭いの風だった。 だけどそれは過去の自分の過ちを残酷にも思い出させる。 俺は舌打ちをした。 端整な顔立ちなのに 冷たさを秘めた瞳をした俺の幼馴染… あれは猛毒だ。 捕まるな、逃げろ逃げろ、本能が俺に警告を出した、だから逃げた。 なにも言わず違う道を選び、連絡を断った 多分俺は間違っていない。 これでよかったんだ。 動悸が早くなる、眩暈がしてきた。 眉間にシワをよせ、唇を噛み締める。 俺はその記憶を閉じ込めるように瞼を閉じて世界を遮断した。
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