第1章

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誠side- 僕はおばさんから袋を受け取り、ついでにどら焼を二つもらって黒に別れを告げた。 ここから歩いて12分の場所に僕のマンションのがある。 肉も買わないといけない、この路地をまっすぐ行ったところにスーパーがあるからそこまで行くことにした。 野菜はここで買うと決めているんだよ、黒にも会える。 「………」 袋から視線を外して前を向いたとき、傘をさしているが見覚えのある茶髪が目にはいった。 そして眼鏡越しに目を凝らしてみつめた。 白いはだ、驚いているのか見開かれた瞳、薄い唇… 記憶の中の彼よりも身長は伸びたようだけども 体つきはあまり変わらず華奢だ。 驚いた顔をして僕の方を凝視しているのは 忘れようにも忘れられない僕の大切な大切な… 「け…い……?」 幼馴染だ。 中学の卒業式以来会っていない友人がそこにいた。 この細い路地の先の歩道に。 僕の胸は言い様のない切なさで締め付けられ、手に持っていたビニール袋が落ちた事に気付かない。 啓だ、間違えない、間違えるはずない啓がそこにいる。
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