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「では見ていてもかまいませんか」
「それはかまいやせんが……」
下男は、草引きなど見ていて面白いのか、と言いたげな顔で畑の真ん中にかがんだ。
ここは自然の香りがする。
湿った土、青々とした緑の香りが、辺りいっぱいに広がっている。
照りつける陽射しはじりじりと肌を焦がすような熱さで、直ぐに額に汗が滲んだが、その熱さが快く感じた。
思えばもう幾年も、かような強い陽射しを浴びたことなどない。
領議の邸内にいただいた令雲の居所には小さいながらも池のある庭がしつらえてあり、日光を遮るため軒を広く造った居間などに居ると、涼風がよく通り抜けた。
日焼けした下男の肌と白い己のそれを見比べれば、これまで己がいかに快適な暮らしをしていたのかと気付かせられる。
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