第20話

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令雲にはさして心惹かれる話でもなかったが、それを思い出したのは夕餉の時刻になってからである。 病舎で一人食事をするのも味気ないでしょうと、白英宗が私室に招いてくれたのだ。 縁側の廊下に近いところに座すと、斜め向こうに娼家が見えた。 「傷は痛みませんか」 白英宗が令雲の正面に座した。 「静かに歩くぶんには何とも……」 「そうですか。動けるなら動くほうがよいでしょう。そのほうが体の回復も早いですから」 「ああ、良かった。寝ているのも退屈なので今日は薬草畑のほうへ少し歩いたのです」 「医院の中ならどこを歩いてもかまいませんよ。しかし、敷地の外へは出ないように」
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