21人が本棚に入れています
本棚に追加
・髪を切る
・職員さんにお礼を言う
・余ったお小遣いを年下に分ける
・友達に手紙を出す
・新しい服を買う
・新しい靴を買う
・美味しいハンバーグを食べる!
・料理を作ってみる!
・好きな人と海に行く
・キスをする
・たくさん笑う
「……なんか本当に、終活っぽいぞ~」
「だからそう言ってるじゃない」
返して、と一回り小さな手が伸び上がる。一瞬渡しかけ、夏夜は再び自分の方にメモを引き寄せた。
「ちょい待った。美味しいハンバーグ? あれ、なんか俺ダシにされた?」
美音子はにこにこしている。
「ご馳走様でーす」
「うーわやられた。そういう目的があるならさ、先に言ってよ。こんなチャチなところじゃなくて、もっと美味しい店に連れてってやったのに」
ようやくメモは美音子の元に帰った。
「いいの。こういう賑やかなところで食べるハンバーグ大好き」
「まあファミレスは万能だからな。で、もしさ、これ全部完遂できなかったらどうするの?」
机に乗り出し、美音子の顔を覗いた。きゅっとつり上がった唇が尖るのが見えた。
「どういうことー?」
「いくつかチェック出来なさそうなヤツあったぞ。海とか、彼氏、とか……キッ」
言っているうちに夏夜は我慢できなくなって吹き出した。美音子はどう見ても子供っぽいし、女を全面に出して男とマセたことをするタイプには見えない。中学生男子がどこまでこの娘の終活に付き合ってくれるのか。
「……別に彼氏じゃなくていいもん」
またマイルールか?夏夜は探るような目付きでにっと笑ったまま、片方の眉を持ち上げた。
「というのは?」
最初のコメントを投稿しよう!