夏夜

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 ・髪を切る  ・職員さんにお礼を言う  ・余ったお小遣いを年下に分ける  ・友達に手紙を出す  ・新しい服を買う  ・新しい靴を買う  ・美味しいハンバーグを食べる!  ・料理を作ってみる!  ・好きな人と海に行く  ・キスをする  ・たくさん笑う 「……なんか本当に、終活っぽいぞ~」 「だからそう言ってるじゃない」  返して、と一回り小さな手が伸び上がる。一瞬渡しかけ、夏夜は再び自分の方にメモを引き寄せた。 「ちょい待った。美味しいハンバーグ? あれ、なんか俺ダシにされた?」  美音子はにこにこしている。 「ご馳走様でーす」 「うーわやられた。そういう目的があるならさ、先に言ってよ。こんなチャチなところじゃなくて、もっと美味しい店に連れてってやったのに」  ようやくメモは美音子の元に帰った。 「いいの。こういう賑やかなところで食べるハンバーグ大好き」 「まあファミレスは万能だからな。で、もしさ、これ全部完遂できなかったらどうするの?」  机に乗り出し、美音子の顔を覗いた。きゅっとつり上がった唇が尖るのが見えた。 「どういうことー?」 「いくつかチェック出来なさそうなヤツあったぞ。海とか、彼氏、とか……キッ」  言っているうちに夏夜は我慢できなくなって吹き出した。美音子はどう見ても子供っぽいし、女を全面に出して男とマセたことをするタイプには見えない。中学生男子がどこまでこの娘の終活に付き合ってくれるのか。 「……別に彼氏じゃなくていいもん」  またマイルールか?夏夜は探るような目付きでにっと笑ったまま、片方の眉を持ち上げた。 「というのは?」
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