第1章

11/35
前へ
/35ページ
次へ
 やがて歴史好きで書店勤務の三十六歳太田雅夫が天峰山の歴史に話を振った。  「あの山は昔確か銀の採掘やってたんですよね」  「そう、 江戸時代は、 生野銀山ほどじゃないが、 結構銀が採れていたらしい」  太田に反応するように佐藤が答えた。  「でも、 あれですね、 昔の鉱夫は大変だったでしょうね。 今みたいに機械もなく、 何もかも手作業でしょう」  一番若い塚本宏が缶コーヒーを飲みながら言うと、 歴史好きの太田雅夫が答えた。  「そうなんだ、 ものすごい重労働で、 中でも水替人足の仕事は過酷だったらしいよ」  「水替人足って何なんですか」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加