第1章

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 塚本宏の問いに太田が答えた。  「鉱山はどうしても地下水が出るわけで、 排水が必要になる。 それを手作業でやるのが水替人足なわけです。 これが地獄的な重労働で三年命がもてばいい方だというぐらいひどかったらしいよ」  太田の説明に今度は銀行員の平松文也がスナック菓子を口に入れながら問いかけた。  「その水替人足というのはどういう人たちだったの。 罪人とかいたの」  「僕もよくは知りませんが、 無宿無頼、 今でいうホームレスとか無理やり連れてきていたので、 逃亡事件が後を絶たなかったらしいですよ」  太田がそう答えると佐藤輝夫が運転席から言った。
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