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第一章 居合仲間たち
「うわーッ」
小野精一郎は大声をあげて、
布団から半身を起こした。
時計を見ると夜中の三時である。
全身にびっしょりと寝汗をかいていた。
「またか、
これで何度目だろう」
また同じ夢を見た。
大きな岩がゴロゴロと転がってきて自分の顔にのしかかってくるのである。
その岩の重みで顔面はバキバキといういやな音と共に骨が折れ、
血が飛び、
ぐしゃぐしゃに崩れる。
そしてその顔がつぶれて仰向けに横たわる自分自身を、
自分自身が上から眺めているのである。
小野精一郎は三十歳、
独身、
中学の教員で社会科を担当している。
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