第1章

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 小野は元来、 不安や恐怖心の強い神経質な性格である。 そのひ弱な性格をなんとか直したいと思い、 毎週土曜日の夕方は居合の稽古に励んでいる。 流派は神道一刀流、 小野は稽古を始めて四年目で現在三段である。  最近奇妙な悪夢を見るようになって、 精神が不安定になってきていると感じているが、 これではいけないと思い、 今日も居合の稽古に励んでいた。  「えいっ」  おお、 今度はうまく斬れた。 水で湿した畳表の円筒を右袈裟斬りで一刀両断して、 小野は嬉しそうな表情を見せた。  さっきは踏み込みすぎて上手く斬れなかった。  「小野君、 間合いが近すぎる」
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