第1章 #2

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 「浄妙寺の洞心和尚から話は聞いたよ。 ちょっと厄介な問題だね。 でも見通しは悪くないと思うよ」  吉川は小野が不安そうな顔をしているのを見て安心させるように言った。  「先生、 私は具体的にはどうしたらいいんですか。 私に何ができるでしょう」  小野の問いに吉川は答えた。  「小野君、 これから三ヶ月ほど猛特訓をするよ。 具体的には、 神道一刀流の秘太刀、 兜割りの修練を積むことになる」  兜割りの秘太刀とは、 刀を真っ向上段から打ち込んで兜に一寸(3センチ)程度の太刀傷を付ける技である。 これは文字通り鉄で鉄を斬る荒業で、 よほどの練達者でなければ打ち込んだ刀が折れるか刃こぼれしてしまうという難度の高い刀術である。
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