第1章 #2

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 二ヶ月後に小野は吉川宅で再度指導を受けた。 吉川の前で小野は兜割りの型演武をやった。 すると吉川は言った。  「小野君、 大体はそれでいい。 あともう少し手の内を締めろ。 間合いと刀勢は十分だ。 あとひと月で兜が斬れるようになるだろう」  吉川の言葉に勇気付けられて小野はさらに一ヶ月間地獄のような稽古に励んだ。  そして、 予定の三ヶ月間の猛稽古の後、 小野は吉川の面前で兜割りを実演した。 刀は小野が稽古で使っている真剣を使用した。  小野は正座の姿勢から気を集中してゆっくり腰をあげ、 右片ひざを立てるのとほぼ同時に刀を抜いて大上段に構えた。 そしてその体勢からえいっという気合とともに鉄製のヘルメットめがけて刀をうち下ろした。
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