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二日後、
小野は浄妙寺の真木洞心のもとを訪れた。
「小野さん、
吉川さんから聞きましたよ。
よかったね、
兜割りができて。
さあこれからが仕上げだ」
「これから私は何をすればいいのでしょうか」
「これからはあなたの剣の腕と村正とで天峰山の邪霊を鎮めるのだよ」
真木の言っていることがよく飲み込めず小野は当惑した。
「私がそれをやるのですか。
私に可能でしょうか」
真木は小野の不安を取り払うように微笑を浮かべて言った。
「これから私が言うことをよく胸に留め置いてください。
あなたは、
村正の太刀を携えて天峰山荘に宿泊します。
すると必ず夜中に怪異が起こります。
村正の霊気に天峰山の邪霊が吸い寄せられてやって来るのです。
その時、
たじろぐことなく、
臆することなく村正を抜き放つのです。
鉄をもって鉄を断ち斬るほどの気概を失わずにいれば、
怪異は自ずからから去っていくでしょう。
そうなれば天峰山の不可解な事象は収まり、
二度とこれまでのような忌まわしい事件は起こらなくなります」
真木和尚の言葉に小野は最初、
果たして自分にやれるだろうかという不安が先立った。
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