第1章 #2

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結局自分は霊にとり殺されることになるかもしれない、 など恐怖感がこみあげてきた。 しかし、 真木和尚や師匠の吉川に見込まれた手前、 なんとか気持ちを奮い立たせた。 邪霊と一戦交えるか、 なるようになるだろう、 小野は一か八かという気分になった。  「わかりました。 私の力の限りやってみます。 最後のお聞きしたいのですが、 なぜ私なのでしょう」  小野の質問に真木は答えた。  「それは、 あなたのご先祖が、 天峰山の銀採掘に関わる役職にあった武士だったからです。 私の方であなたのご先祖様のことを少し調べたらそのことが分かったのです。 そういうわけであなたこそ、 ご縁の深さから見て今回の件に最もふさわしい人物と私は見たのです」  そうだったのか、 迂闊にもご先祖様が天峰山の銀採掘に関わっていたとは知らなかった な。 小野は改めて真木洞心の眼力の深さに感銘を覚えた。
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