第1章 #2

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  第六章 破邪顕正の剣  それから一週間後、 週末を利用して小野精一郎は天峰山荘一泊に向かった。 いつもの登山と違うのは、 村正の太刀をビニールケースに入れて釣竿パックのように肩に担いでいる点だった。 小野は父親に事情を話して村正を借りてきたのだった。  天峰山荘には夕方の五時頃に到着した。 山荘ではあるじの木俣栄一が再会を喜んでくれた。  「小野さん、 またお会いできて嬉しいですよ。 今日はお一人なんですね」  「ええ、 たまには一人登山もいいかなと思って」  さすがに昔居合をやっていただけあって、 木俣は小野が肩に担いでいるのが刀だとすぐ見抜いた。
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