第1章 #2

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 それから、 小野は市の図書館に通って銀山時代の天峰山の歴史について資料を調べてみた。 そうすると少し気になる記録が見つかった。 それには以下のような記述があった。    寛永十五年(一六三九年)九月十五日、 天峰山の銀採掘場で事件が発生した。 水替人足五名が現場の監督役人を殺害して逃亡を図った。 五人は名をそれぞれ平三、 松助、 文太、 幸吉、 梅次と言い、 いずれも無宿無頼の徒であった。 この者たちは天峰山の山頂から烏帽子岳に抜けて国抜けしようとした。 ところが、 七合目のガレ場で二名が足を滑らせ落下。 ちょうどその時落ちてきた岩石の下敷きになって圧死した。
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