夜に棲む小鳥

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     そんな彼女が、後見人として〔寄宿者〕を受け入れるらしいといううわさが、いつからか街に広まっていた。  遠くの農業都市からやってくるらしい、十六歳の少女らしい、もうまもなく到着するらしい、いや既に邸宅に住んでいるらしい、などなど。おしゃべりの好きな住民たちのあいだで、まことしやかにささやかれている。  それだけなら、よかったのだけれど。 「ねえニコラ、あのうわさ、本当なの?」 「私も聞きたいと思ってたのよ、ニコラ、知っていて?」 「独り占めなんてずるいわ、教えてちょうだい」  仕事終わりにぐるりと周りを取り囲まれて、ニコラは大きくため息をついた。  ニコラがヴィタの邸宅に出入りする数少ないひとりだと知っている周囲は、期待をこめたまなざしを向けている。困ったように軽く肩をすくめて、ゆるく首を振ってみせた。 「聞きたいならロゼッタに聞けばいいじゃない、あたしは知らないわよ」 「だって、ねぇ。ロゼッタさんは、こう、少し首を傾けて、にこにこ笑うだけなんだもの」  同僚がしてみせた仕草がやけに似ていて、その様子を想像できたニコラは苦笑いを浮かべる。 「……分かった、今度のお休みに行って聞いてみるから。それでいいでしょう?」
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