夜に棲む小鳥

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――――――― ―――― ―― 「と、いうわけなんだけれど、どうなの?」 「うん、そんなことだろうと思ってた。ヒトのうわさってすごいね」  既に自分の指定席となりつつあるヴィタの邸宅の居間、お気に入りの椅子に腰掛けて、ニコラは机の反対側に視線を送った。  向かいの椅子で、ヴィタは楽しげにくすくすと笑い声をたてたあと、手元の本から視線を持ち上げる。ニコラの視線を受け止めると、その美しい顔立ちに、にやり、としか形容のできない笑みを浮かべてみせた。 「……なぁに、もしかしてうわさの元はヴィタ? あなたの気まぐれのお遊びなの?」  ニコラは形のよい眉を顰めながら、ぱっちりとした愛らしい碧眼を縁取る長いまつげを伏せた。机に頬杖をつき、自分のゆるくウェーブのかかった金髪を一房、指先でくるりともてあそぶ。  その様子をどこか満足そうに眺めて、ヴィタは小さくひとつうなずいた。 「そうすれば忙しいきみが会いにきてくれるかと思って。彼女の名前はメイといってね、ちょっと遠くの農業都市から来た十六歳、素直でいい子だよ」  言い訳を聞き流すつもりでいたニコラは数秒の沈黙の後で、がたんっと椅子から立ち上がった。 「……えっ、本当になったの? 後見人に?」
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