-最悪の出会い

3/16
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
 入学して半年もたつというのにそれほど仲のいい友達もいない。それもそのはず、割と自由な校風の北陵の中にあってあたしはがちがちのガリ勉を演じていた。すると不思議なもので男はさっぱり寄ってこない。背中の真ん中あたりまで伸びた髪は真っ黒で、二つ分けにして三つ編み。自分でも思う、いったいいつの時代の人間?ってなぐらいの昭和な感じ。度の入っていない伊達メガネでさらにガリ勉女子を演じる。本当はこんな格好したくない。だけどここまで徹底して、近寄るなオーラを醸し出す。  見た目にダサいのは女友達にまでブロック効果があるようだ。女の子さえ当たり障りのない会話しかしてこない。 いいんだ。  あたしは3年我慢すれば、本当の春が訪れる。  でも、意外とこの格好、楽なんだ。他の子の様にメイクや髪型に気を遣わなくて済む。あたしは男の子たちに陰で「ダサ子」と呼ばれていることを知っている。そんなことも気にしない。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!