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「和音。帰るぞ。」
奴は意にかえさない。
「先生。サンキュー。じゃぁね。」
奴は無言であたしの腕を引っ張った。
「まだ少し目眩があるみたいだから気を付けてあげて。」
奴は軽く手を上げてそのまま保健室を出て行った。当然、あたしは引きずられたままだ。
奴の足は長く歩幅もえらく広い。あたしはついて行くだけで精いっぱい。常に小走りの状態。ちらっと見上げた表情は不機嫌そうだ。
でも、どうして、あたしは何で奴と一緒にいる?意味が分からない。
靴を履いて学校を出るとすでに靴に履き替えた奴が目の前に立っていた。またも無言で腕を引く。さすがにあたしが常に小走りなのを見て奴は歩調を緩めた。
「お前、意外に軽いんだな。」
「へ?」
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