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単語帳を開きつつ食堂を見渡した。食堂の隅で軽薄そうな男が同じく軽薄そうな女子たちに囲まれているのを見た。あんな軽薄そうな男、ちっとも頭がよさそうに見えない。何であんな奴がここにいるのか、見てるだけで気分が悪くなる。
あたしは単語帳を小脇に抱え、食器を戻すためお盆を持って立ち上がった。
「ごちそうさまでした。」
気のよさそうな食堂のおばちゃんが振り向いてにこっと笑った。
あたしは小さく頭を下げると出口に向かう。
「そこの三つ編み。」
そこの三つ編み?それってあたししかいないじゃん。
振り返る。
「落し物だよ。」
げ。
あの、軽薄そうな男があたしの大事な単語帳を目の前にかざしていた。
「あ・・・ありがとうございました。」
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