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あたしはなるべく近寄らないよう、遠巻きに手を差し出した。後3センチ。にじり寄る。単語帳に手が届きしっかり握りしめ自分の方へ引っ張った。
だけど単語帳はあたしの手に入らない。強く引いてみても強い反動が起こる。
何?
単語帳の先を見ると軽薄男が強く握りしめたままだった。
何なの???いったい!!
顔を上げず上目使いに軽薄男を見上げる。
ムスッとした顔。かなり不機嫌そう。
礼が足りなかったのかな?
とにかくこんな輩にはかかわりたくない。
「一斗、こんなダサ子ほっといて早く行こうよ。」
取り巻きの女の一人が声をかける。
そうだ、そうだ。こんなダサ子はほっといてください。
あたしは心の中でそう叫んだ。
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