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「汚ねー手で触んじゃねー。」
奴は庇うようにあたしを背中に回すと険しい顔でその手を振り払う。
「一斗・・・。お前・・・。」
「こいつに触れていいのは俺だけなんだよ。和音は俺のもんだ。」
このセリフを聞いて手を伸ばしかけた連中が吹き出した。
「ダサ子。これが一斗の常套手段だ。マジになった頃に食っちまったら飽きてポイだ。せいぜいお前も捨てられないような。ま、捨てられたら俺たちのところ来いよ。かわいがってあげるからさ。」
これを聞いて増々恐ろしくなった。“食っちまったら飽きてポイ”何かの標語かと思う程にこのフレーズが耳に残る。
周りが遠巻きに見ている。穴があったら入りたい。
奴はさっきと変わらず涼しい顔のままA定食を2つ頼むとあたしを引きずって窓際の席へついた。
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