-日陰の雑草

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 真横で食べさせられる気持ちになってみて。あたしはどんな顔して食事すればいいの?きっと食べ物の味なんてしない。  すると突然、目の前に仁王立ちの女。 「ちょっと、2年のイケメン坊主。あたしのかわいい妹、どうしたい訳?」  顔を上げるとそこには同じくA定食を持ったお姉。  奴も箸を止めて顔を上げた。ここでもさっきと同じような扱いをするのかと思ってみていると動揺を隠せない目。 ? 「雪ねぇ。」 へ?  お姉もお姉でちょっと驚いた顔。 「あんた・・・まさか・・・。」  奴が突然立ち上がったかと思うとお姉の腕を取って恐ろしい形相で食堂の隅へ行く。あたしに聞かせたくない話なのか。  何の話なのか奴とお姉が激しく言い争っている。  これがチャンスとばかりにあたしはそそくさとA定食に箸もつけず立ち上がって食堂を後にした。  このまま遠くへ行きたい。
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