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「和音。」
何でこんなとこいんの?
結局再びあたしはこいつに引きずられることになった。
下駄箱まで来た。
「さっさと履き替えろ。」
のろのろとあたしはローファーに履き替える。掴んだままの腕。靴を履きかえると奴は無言で歩き出す。
気が付くと学校の正門を抜けた。緩い坂道をどんどん下って行く。サッカーグラウンド、野球場。それを横目に見ながらどんどん、どんどん奴は進んでいく。
通学路を少し外れた所の“平田屋”についた。遠慮なしに奴が引き戸を開ける。
「おばちゃん、肉玉2つね。」
慣れた様子で奥にいて姿の見えないおばちゃんに注文を出す。
「あら?篠田君。こんな時間にどうしたんだい?学校は?まだ授業中だろ?」
「ちょっと色々あって食堂で飯、食い損ねたんだよ。こいつと一緒に。しかもこいつ空腹で倒れそうだし。おばちゃん、早くね。」
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