-日陰の雑草

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 奥からおばちゃんがアツアツのお好み焼きを持って出てきた。 「おまちどう。」 「サンキュー。」  目の前にあった箸立てから割り箸を一組あたしに差し出す。あたしはそれを素直に受け取った。  お好み焼きのソースの匂いが空腹のお腹をグゥーっと言わせる。 「はは。やっぱ腹減ってんじゃん。しっかり食えよ。」  奴は驚くような笑顔を見せた。  もし、あたしが男嫌いじゃなかったらこの笑顔にやられていたかもしれない。  不思議だった。何で奴の隣であたしはお好み焼きなんか頬張ってんの?何なのこれ?言われているほどの鬼畜な扱いをあたしは受けていない。それってやっぱ、“食べたら飽きてポイ”のため?体が目的だから?  自問自答してああそうかと納得がいった。やっぱり食堂の軽薄な連中が言っていた紳士な振る舞いはあたしを食うまでの間だけ。あたしが奴に溺れて体を差し出すようなことをすれば飽きてポイ。
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