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奴が欲しているのはさやかさんの様にいつまでも未練を残すような女じゃなくて、遊んで飽きたら簡単に捨てられる女。
あたしは奴が求めるような女じゃない。
「ごちそうさまでした。」
財布からあたしの分だけお金を出す。
「和音。これはしまっとけ。食堂で飯食わさなかった俺が悪いんだから、ここは俺が払う。こんなに残して・・・。腹減ってんだろ?もっと食えよ。」
押し返したお金をさらに押し戻す。
「困ります。あたしは誰とでも寝るような簡単な女じゃない。セフレ探すんなら他でやってください。こんなことであたしがあなたになびくとでも思ってるんですか?あたしはあなたが嫌いなだけじゃなくて男が嫌いです。もう、ほっといてください。」
あたしは駆け出していた。
言っちゃった。
平田屋を飛び出してあたしは懸命に走った。バスケの主将を務めているような奴の足ならへっぽこ運動音痴のあたしの足なんて簡単に追いついて、追い越す事さえできそうだ。
でも、奴は追いかけてこなかった。
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