55人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうします?貴方が行きたいと言うなら、構いませんよ」
寛大に言ってくれるグランシアだが、礼を受け取りに行くと言うのも気が引ける。
「……待って……」
プラチナの好意を無碍にするのも、それはそれでどうなのだろうと頭を悩ませていると、ルイの声が思考を遮った。
彼はレヴィアスの元に歩み寄ると、辿々しい口調で願い出る。
「あの、レヴィアス様……お願いが、あるん……だけど」
「……?」
丁寧な前置きに、レヴィアスは怪訝も露わにルイを見下ろす。
「セレスと……ヒューガを、会わせて……あげて」
「…………」
交わした約束を覚えていてくれたルイに、セレスは言葉もなくその背中を見詰めた。
だがしかし、視線だけを動かし、セレスを見やったレヴィアスの威圧感。
違う意味で声が出なくなる。
「……ルイをけしかけたのは、お前か?」
「いや……別にそんなつもりは……でも、会いたいです!お願いします、レヴィアスさん」
ルイに罪をなすり付ける訳にもいかず、実際ヒューガに会いたいと言ったのはセレスだ。
彼に習ってレヴィアスに駆け寄り、せき立てられるように訴える。
「お、おいおい、セレスはまだしも、ルイまでどうしたんだよ。大体会うって言っても、時と場所ってもんが……」
レヴィアスとセレスを交互に見やったアスーラは、戸惑い混じりに割って入る。
「まあ、ここにヒューガ君を連れて来る訳にはいかないし、進んで機関に戻るのも考えものだよね」
珍しくアスーラに同意するような言い回しだが、イーグルの声音はやはり適当さが拭えない。
最初のコメントを投稿しよう!