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ルイから身を離し、慌ててクロードを呼び止める。
「クロードさん!あの……宜しくお願いします」
深々と頭を下げるセレスを一瞥し、クロードは冷たく吐き捨てた。
「俺は命令に従うだけだ。だが、賛同している訳ではない」
それが、クロードの本心なのだろう。
正論過ぎる台詞に胸が痛むけれど、それでも、クロードを待つ事を選択する自分が居た。
彼を待つ間の時間が酷く長く感じられ、その日セレスは二通の手紙を認める。
プラチナと、ルードヴィッヒに宛てた手紙である。
伝えたい事が沢山有り過ぎて、何度も何度も書き直す。
それさえも、今のセレスには楽しいイベントのように感じられた。
「嬉しそうですね、主」と尻尾を振るジークリードに頷き、セレスは彼の申し出に甘えて手紙を託す。
もう直ぐヒューガに会える。その為の一番重要な一歩を進めたのだと、信じていた。
「ふぁ……眠い……」
慣れない事をしたせいか、気持ちは高ぶっているのに瞼が重くなる。
寝て起きた頃には、きっとクロードも戻って来ているだろうと、セレスは少し仮眠を取るつもりでベッドに潜り込んだ――。
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