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慌てて彼を追い掛けながら訴えると、突然立ち止まったレヴィアスの背中に顔面を強打する。
「いっ……たた……」
鼻を押さえて後退したセレスだったが、ゆらりと振り返ったレヴィアスの眼差しに、呼吸が止まる。
髪の間から覗いた眼孔は、どんな凶悪な魔物でも瞬時に逃げ出してしまいそうだ。
「お前、自分からノコノコとルードヴィッヒに会いに行くつもりか?お前の頭に詰まっているのは何だ?」
「い、いや……あの……」
イーグルには綿が詰まっているのではと、いつか言われた事があったが、今それを言ってしまえば余計にレヴィアスの神経を逆撫でしてしまう。
キラキラと朝日が零れ落ちる中、セレスを取り囲むのは絶対零度のブリザード。
先程までとは違う意味で、紅龍の元が恋しくなった時、勢い良く館の玄関が開け放たれた。
「主!!」
「セレスちゃん、会いたかったわぁぁ!!」
「毛むくじゃらとオカマは引っ込んでろ!再会の包容は俺からって決めてたんだよ!」
俄かに騒々しくなった空の下、ジークリードやジル、アスーラが先を競うようにもつれ合う。
茫然とその光景を見詰めるセレスは、まるで抜け駆けのように脇をすり抜けて来たルイの腕に収まっていた。
「セレス、無事……?」
すりすりと頭に頬を寄せられ、変わりないルイの行動が素直に嬉しかった。
「は、はい」
「ぬぉおおお!てめっ……抜け駆けとは良い度胸じゃねぇかクソガキ!!」
地面に拳を叩き込んで喚くアスーラは、心底忌々しそうにルイを睨み付ける。
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