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レヴィアスの後を追ったであろうジルと、決して声を張り上げる事のないルイは別として。
本当に何も知らされていなかったアスーラとジークリードが、数秒の沈黙の後に絶叫した――。
――――
興奮冷めやらぬアスーラとジークリードにせっつかれるように広間へと促されたセレスは、そこにリディアナの姿を見付ける事が出来なかった。
レヴィアスはグランシアの部屋に向かったようで、彼ら以外の者達が広間に集まっている。
「さ、聞かせてくれよ。紅龍が生きてたってのは、本当なのか?」
「ほらほらセレスちゃん座って。自信作なのよー!沢山食べてね」
聞きたくて仕方がないと言わんばかりのアスーラに構わず、ジルはせっせとセレスの世話を焼く。
ジルの作ってくれたケーキは、いつかのプリンとは異なり、皆が食べられるショートケーキだった。
莓をふんだんに使われたケーキは甘酸っぱく、セレスは舌鼓を打ちながら事の顛末を語った。
紅龍がセレスにくれた言葉は、心の奥にある宝箱の中に、大切にしまっているけれど。
「へぇ……連絡も無しに、何してるのかと思ったら。憎いことするね、レヴィアスさん」
もぐもぐと莓だけを拾って食べているイーグルは、フォークを唇に押し当てながらニンマリと笑った。
「無事に会えて良かったわ。偶然とは言え知っちゃった身としては、気が気じゃなかったもの。って、イーグル!何て食べ方してるのよ!!」
しみじみと頷いて聞いていたジルは、莓だけを綺麗に取り除かれたスポンジと生クリームに、当然ながら眉をつり上げる。
ジルの叱責にも構わず、皿を片手にセレスの横へ移動して来たイーグルは、ニコニコとスポンジにフォークを突き刺す。
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