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「別に残しませんってば。ちゃんと食べますよ、セレスちゃんが」
「へ?」
「セレスちゃん、あーん」
スポンジと生クリームを、手ずからセレスに与えようとしてくるイーグルに、そこかしこから怒りの炎が上がる。
「イーグル!!」
「てめぇ!何羨ましい事してやがるんだ!!」
「…………」
「イーグル殿!昨日と言い、今と言い、一体何をしているのですか!?」
ジルやアスーラ、無言で般若を背負うルイは良いとしよう。
しかし、ジークリードの放った言葉に、一瞬の静寂が落ちた。
「……昨日?昨日イーグルは、何かしたのか?」
完全に傍観者と化していたクロードが、素朴な疑問のように問い掛ける。
全員の視線が、ジークリードに集中していた。
「イーグル殿は、お……俺の前で、主に……っ」
「正確に言うと、君の後ろだけどね。ちょっとこめかみにキスしただけで、目くじら立てないで下さいよ」
言葉にするのもおぞましいと言わんばかりのジークリードと、何でもない事のように爆弾を投下するイーグルの温度差。
間抜けに開けたままのセレスの口に、イーグルは無邪気にケーキを押し込んだ。
「ぐあぁぁあ!あみだくじなんかで決めるんじゃなかった!!こんな事になるなら、やっぱり俺がセレスを迎えに行くべきだったんだ!!」
「男なんて皆野獣だわ!セレスちゃん、イーグルから離れて!!」
頭を抱えて崩れ落ちたアスーラとジルの過剰反応に、乾いた笑みを零しながらも、正直引いてしまう。
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