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「……連れて行かないつもりなの?
功ちゃん!」
何時になく強い口調の
歩美ちゃんの声色に一同沈黙となった
「……急だし
忙しくなるだろうから
知らない土地に一人じゃ
寂しい思いをさせるだろうし
原発のニュースとかも観るし
母さんと二人でいた方が……」
「真琴はどうなの?
それ〃が〃良いの?それ〃で〃良いの?」
「……ママ」
「ニュースで観ただけ
私だってニュースで観ただけだけど
それだって何れだけ大変な被害だったか
想像もつかない程の災害にあったところよ
原発のニュースだって知ってるわ
今まで目の前にあったものが
一瞬で拐われる恐怖がどれ程のものか
その別れがどれくらい
人々に傷痕を遺したのか
想像もつかないけれど
それはそれは辛い出来事だった事でしょう
見ず知らずの
行った事もないところの出来事でも
そう思うんだよ
功ちゃんは、
これから一人で行くっていってるんだよ
あの日から随分時間は過ぎて
当時とは違うでしょうけど
それでもみんな癒えてはいない想いを
沢山抱えていると思うわ
真琴、守られているばかりで
本当にそれで良いのかな?」
「……ママ」
僕は一人席を外しパソコンの画面を開いた
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