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そう、弥生君から忠告を受けたすぐ後、
『静流様……わたくし、花組の桑原瑞恵と申します。静流様は私のことなど知らないと思いますが、私はずっとずっと静流様を見ていました。
……す、好きです』
震えながら勇気を振り絞るように想いを告げてくれた彼女。
その気持ちは嬉しく思っても、僕は彼女に特別な感情はなく、想いを告げられたその瞬間さえ、心が動かなかった。
だから勿論断ったよ。
気持ちは嬉しいけれど……と。
彼女はやはりショックだったらしく、目に涙を浮かべてしばしその場に佇んでいたんだ。
僕は申し訳なく思いながらもその場を立ち去ろうとしたら、
『静流様、それでは少しの間、恋人の振りだけさせて頂けませんか?』
と彼女が声を上げた。
『恋人の振り?』
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