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『いいえ、私には大きなメリットがあります』
『大きなメリット?』
『“有栖川静流と交際できた”という事実は私のステータスにもなるんです。
……これはお互いにとって悪い話ではないですよね?』
その申し出にはためらいがあった。
それでもその時、通りかかった女生徒が、
『わっ、静流様が綾小路さんじゃない方と一緒にいますわ』
という声を耳にした時、焦りから咄嗟に、
『いいよ』
と頷いてしまった。
そうして、成立したひとつの契約。
“撫子賞の投票が終わるまで、恋人同士の振りをする”
それがその時交わされた二人の約束だった。
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