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「……投票が終わり、もう小芝居は終わりなんだ」
『静流様は綾小路さんがお好きなんですよね?』というくだりを伏せて、やりとりを告げた静流に、皆は呆然と目を開いた。
「……そんな約束をしていたわけだ。通りで不自然だと思ったよ」
やれやれと肩をすくめた瞬に、美優は苦い表情を浮かべた。
「……だけど、それでもやっぱり残酷」
「あら、でも実際、彼女のステータスは上がりましたわよ?
例えひと時でも静流様と交際できた事実は大きな勲章だと私も思いますわ」
「そうかもしれないけど」
「それに決めたのは瑞恵さんですもの」
「ああ、そうだなー。瑞恵ちゃんとしては恋人の振りをしている間に静流の気持ちが向いてくれたらと思ってたんだろうけど、そうは上手くは行かなかったってことか」
そう話す皆に静流は自嘲的な笑みを浮かべた。
「……そんなわけで、僕と彼女の関係はこれで終わりなわけで……」
そこまで言いかけた時、第三音楽室の扉が勢いよく開き、
「ひどいです、静流様!」
という声が響いた。
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