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「今、アイスクリーム作ってるんだよ。バーニャさんはアイス好き?」
らぴとはバーニャに言った。
「おう。ごちそうしてくれるのか?」
老人バーニャはうれしそうにニヤリと笑った。
らぴとは再び冷蔵庫の前に立ち、指先をつきつけた。
「んんー、冷蔵庫さん、冷蔵庫さん、おいしいアイスクリームを作っ──」
らぴとが唸りだすと同時に、カランカランと軽やかなドアベルの音。また来客らしい。
「今度は誰? お客さん? 準備中のはずなのにー」
らぴとはため息をついてリビングへ向かった。
リビングは、日中は店舗として解放している。だから客が来ても不思議はない。
室内に樽が、いや、樽のように太い女性が体をねじ込むように無理やり入ってきた。
「ちょっとぉ、魔法かけてくれたのに、すぐリバウンドしたんですけどぉ! お金返してくれるんでしょうね?」
女性は不機嫌な顔でとげとげしく言いながら、契約書(客用の控え)をつきつけてきた。
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