やっかいな魔法

3/11
前へ
/40ページ
次へ
 しかし、女性の横から別のほっそりした手が契約書をさっと取り上げた。 「ふぅん、『すぐ効果が出ない場合は返金します』、ね。リバウンドしたら、とは一言も書いてないわよ」  レイチェルだった。書類に目を通すのが速い。 「で、『効果が固定されるまでの24時間は飲食しないこと』。これを無視して何か召し上がったのね?」  レイチェルは女性を見た。 「そ、それは……っ。私は悪くないっ! 悪いのはその契約書でしょ!? 丸1日断食とかあり得ないし!」  女性はわめいた。  女性が息切れするのを見計らって、らぴとが口を開く。 「あれから研究を重ねて改訂版が出来ましたけど」  らぴとはレジ横の棚から新しい契約書を出した。  女性は「ふん」と冷たい目でらぴとを見た。 「今度のダイエット魔法は断食時間を6時間に短縮しま──」  らぴとは契約書を読み上げた。 「もっと短くならないの?」  女性が口をはさむ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加