やっかいな魔法

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 気がつくと、らぴとは真っ白で冷たいものに包まれていた。 (アイス、こんなに作るつもりなかったんだけど)  らぴとは顔をしかめた。  体が埋まって身動きできない。 (どうしよう。このままだと)  らぴとは頭を動かしてみた。 (天井しか見えないなあ)  らぴとはぼんやり思った。  唯一見える天井も、突然舞い上がった粉雪で見えなくなった。  代わりに、体を埋めていた雪がだんだん減っていく。棒倒しゲームの砂のように。 「今出してやるからな。せーの!」  勇作がらぴとの両脇をつかんで、菜園の大根のように引っこ抜いた。 「大丈夫だったか? それにしてもこの雪、全然融けないな。砂みたいにいつまでもサラサラしてる」  勇作は言った。
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