やっかいな魔法

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 『胸焼け』が自慢の爪で雪をかき分け、リビングへの道を作ってくれた。しかし、除雪機並みのスピードでこなすので、地吹雪のように視界は最悪。  勇作はらぴとを抱っこしたままリビングに生還した。 「かっこいい……かもしれない」  らぴとはぼんやりと勇作の顔を見上げた。 「かもしれない、ってなんだよ」  勇作のテンションが下がる。 「しっかし、アイスごときに魔法の重ねがけとは、らぴとちゃんは全力投球だなぁ。はっはっは!」  バーニャは笑ってみせたが、寒そうに両腕をさすっていた。  レイチェルも同じように腕をさすり、震えている。 「そ、そんな……憧れのお姫様抱っこを、いとも簡単に達成してしまうなんて……」  レイチェルはぶつぶつ言いながらきびすを返して出て行った。 「なんだ? 相変わらず挙動不審な人だな」  勇作がつぶやく。  多分らぴともバーニャも同じ感想を持ったのだろう。そろって首をかしげた。
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