第5走

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「じゃ、よーい」 そんな江湖の心情は全面的に無視して、花枝はどこから出したのか(もうツッコミいれても仕方ない気がする)スターターピストルを空に向ける。 というか、そのスターターピストルの意味はわかっているのk 「ドンッ!」 ……という心配は杞憂だったらしい。 パンッという軽快な音とともに、オファニエルの姿は一瞬で消えてしまった。 もう気配はずいぶん遠い。 「あれ、エコりん追いかけねーの?」 俺が捕まえちゃうよー?と笑う花枝はまったくその気はなさそうだ。 江湖としてはこんな意味不明なゲームにのる義理なんて塵ほどにもないのだが、まぁそれじゃ納得してくれそうにないし。 何よりこの目の前のニヤニヤ顔に負けるのが気に入らない。 江湖はしばらく花枝の顔を見たあと、音もなく地面を蹴った。 「……あいつホントなんなの」 「はっはー!エコりん本気!」 残ったユオの呟きの後、江湖を追いかける花枝は本気で楽しそうに笑った。 花枝以外には、江湖が一瞬で消えてしまったように映っていただろう。 ユオは気配を探してみるが、もう見つけられなかったので秒で諦めた。 と、思い出したように花枝が戻ってきて、テレビという箱を置いていった。 どうやらこれで江湖たちの様子を見れるらしい。 どういう原理なのかはサッパリわからなかったが、ユオはとりあえずそれを見ていることにした。 が、とんでもないスピードで進む江湖を映しているからか、画面がブレッブレだ。 まぁ何もないよりマシか。と、ユオは縁側に座って観戦することにした。 「……私たち、忘れられてるわよね」 「……クラリーチェ、集中」 クラリスが寂しそうに呟くが、ロッティに冷たく一蹴された。
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