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「じゃ、よーい」
そんな江湖の心情は全面的に無視して、花枝はどこから出したのか(もうツッコミいれても仕方ない気がする)スターターピストルを空に向ける。
というか、そのスターターピストルの意味はわかっているのk
「ドンッ!」
……という心配は杞憂だったらしい。
パンッという軽快な音とともに、オファニエルの姿は一瞬で消えてしまった。
もう気配はずいぶん遠い。
「あれ、エコりん追いかけねーの?」
俺が捕まえちゃうよー?と笑う花枝はまったくその気はなさそうだ。
江湖としてはこんな意味不明なゲームにのる義理なんて塵ほどにもないのだが、まぁそれじゃ納得してくれそうにないし。
何よりこの目の前のニヤニヤ顔に負けるのが気に入らない。
江湖はしばらく花枝の顔を見たあと、音もなく地面を蹴った。
「……あいつホントなんなの」
「はっはー!エコりん本気!」
残ったユオの呟きの後、江湖を追いかける花枝は本気で楽しそうに笑った。
花枝以外には、江湖が一瞬で消えてしまったように映っていただろう。
ユオは気配を探してみるが、もう見つけられなかったので秒で諦めた。
と、思い出したように花枝が戻ってきて、テレビという箱を置いていった。
どうやらこれで江湖たちの様子を見れるらしい。
どういう原理なのかはサッパリわからなかったが、ユオはとりあえずそれを見ていることにした。
が、とんでもないスピードで進む江湖を映しているからか、画面がブレッブレだ。
まぁ何もないよりマシか。と、ユオは縁側に座って観戦することにした。
「……私たち、忘れられてるわよね」
「……クラリーチェ、集中」
クラリスが寂しそうに呟くが、ロッティに冷たく一蹴された。
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