1300人が本棚に入れています
本棚に追加
───……
と、いうわけでオファニエルを追いかけて30分。
どうやらあの石像は体力や筋力も強化してくれたらしい。
これだけ走ってもまったく疲れない。
だが全力で走ってはいないものの、そろそろ息があがってきた。
「少し休もうかしら」
江湖は屋根の上に座り込んで気配を最小限に抑える。
やはり動いているより、止まっていた方が気配は抑えられる。
花枝ですら迷うのか、江湖が止まった瞬間こちらに来るスピードが落ちている。
ついでに言えば軌道もズレている。
オファニエルも急に消えた気配を不審に思ったのか、立ち止まった気配がする。
「っあー、疲れた」
もうこのまましばらく休もうか、と屋根に寝転がる江湖。
早く終わらせたい気もするが、どうも気分が乗らない。
真っ青な空を眺めながら、江湖は目を細める。
風が心地よい。
「この変態!!!!!」
思わず飛び起きた。
突然の怒鳴り声に、いったい何事かと周りを見回す。
が、屋根の上にそうそう人がいるはずもなく、江湖はこっそり下を覗く。
「ちょ!俺は変態じゃない!!」
「うるさい不審者!!露出狂!!」
「人の話聞けや!!」
「ギルドの人ー!!!」
おまわりさーん!!!みたいなノリで叫ぶ女の人に、派手なピンクの髪をした男はチッと舌を打つ。
「デイルイ!」
と、ピンク髪の男の方がそう言った瞬間、女の人が崩れ落ちる。
江湖は思わず屋根から落ちそうになるが、ピンク髪の男がしっかり女の人を支えたのを見て安堵の息を吐く。
そこで初めてその容姿を見て、江湖は思わず目を見開いた。
「なんでこうなるんかね」
その男は派手なピンク髪に、翡翠のような目をして、
半裸だった。
最初のコメントを投稿しよう!