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そろそろ本気でオファニエルを捕まえるべきか、と江湖は気だるげに立ち上がる。
と、せっかく花枝が来たことだし、紹介をしようとネムレスを見る。
「ネムレス、この子が俺の使い魔の……どうしたの?」
「……え、あ、いや。気にせんで」
そんな事を言われても。
なんだか急に顔色が悪くなっているネムレスに、江湖は首を傾げる。
花枝と知り合いなのだろうか。
「何、こいつ」
「あら、初対面?」
「当たり前でしょ。俺、この世界に来たの昨日が初めてだよ」
それは初耳だ。
ならどうして江湖をこの世界に飛ばしたのだろう。
聞けば、世界を選んでいる余裕なんかなかったらしい。
そんな行き当たりばったりな……と思ったが、あの状況から助けてくれた手前何も言えない。
何より、この世界に来れてよかった。
「それよりエコりん、あのクソ天使捕まえてきなよ」
「あ、ちょい待ちエコ。俺、相談したいことあるんやけど」
「あら、じゃあちょっと待ってて。オファニエルを捕まえたら戻ってくるわ」
「そんなら、ココで待っとるわ」
時計を見れば、タイムリミットまであと25分。
屋根にゴロン、と寝転がるネムレスに頷くと、江湖はオファニエルの気配を探る。
気配を消していたからか、意外と近くにあったオファニエルの気配に、江湖はそちらに体を向ける。
「あれ、花枝ちゃんはココにいる?」
「そーだなー、俺もココで待ってるよ」
ふよふよと浮きながらこちらに手を振る花枝に、江湖は頷く。
やっぱり江湖を捕まえる気はないらしい。
こんな格好のネムレスだが、花枝がいるならまだマシだろう。
屋根の上だし。
江湖はまた音もなく屋根の上から消えた。
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