第5走

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そろそろ本気でオファニエルを捕まえるべきか、と江湖は気だるげに立ち上がる。 と、せっかく花枝が来たことだし、紹介をしようとネムレスを見る。 「ネムレス、この子が俺の使い魔の……どうしたの?」 「……え、あ、いや。気にせんで」 そんな事を言われても。 なんだか急に顔色が悪くなっているネムレスに、江湖は首を傾げる。 花枝と知り合いなのだろうか。 「何、こいつ」 「あら、初対面?」 「当たり前でしょ。俺、この世界に来たの昨日が初めてだよ」 それは初耳だ。 ならどうして江湖をこの世界に飛ばしたのだろう。 聞けば、世界を選んでいる余裕なんかなかったらしい。 そんな行き当たりばったりな……と思ったが、あの状況から助けてくれた手前何も言えない。 何より、この世界に来れてよかった。 「それよりエコりん、あのクソ天使捕まえてきなよ」 「あ、ちょい待ちエコ。俺、相談したいことあるんやけど」 「あら、じゃあちょっと待ってて。オファニエルを捕まえたら戻ってくるわ」 「そんなら、ココで待っとるわ」 時計を見れば、タイムリミットまであと25分。 屋根にゴロン、と寝転がるネムレスに頷くと、江湖はオファニエルの気配を探る。 気配を消していたからか、意外と近くにあったオファニエルの気配に、江湖はそちらに体を向ける。 「あれ、花枝ちゃんはココにいる?」 「そーだなー、俺もココで待ってるよ」 ふよふよと浮きながらこちらに手を振る花枝に、江湖は頷く。 やっぱり江湖を捕まえる気はないらしい。 こんな格好のネムレスだが、花枝がいるならまだマシだろう。 屋根の上だし。 江湖はまた音もなく屋根の上から消えた。
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