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────……
ガッ
「捕まえたわ」
「え、ちょっ」
屋根の上を飛んでいたオファニエルの背中に飛び乗り、首を押さえつける。
少々(?)乱暴な捕まえ方になってしまったが、うまく止まれなかったのだから仕方ない。
江湖は飛びづらそうにするオファニエルの背中でフゥ、と息を吐く。
「おまっ、落ちる落ちる!」
そんな慌てた声に目をやると、確かに少しずつだが降下していた。
どうやら人を背に乗せて運ぶ事はできないらしい。
「あら、ごめんなさい」
「……死ぬかと思った」
ストン、と近くの屋根に着地する江湖の数メートル横に座り込むオファニエル。
そんな大袈裟な、とは思ったものの、誰だって背中に突然衝撃がきたらこうなるか。
まぁなかなか自分が飛んでいるということはないのだが。
なかなかというよりまったくない事を思いながら、江湖はオファニエルに目を向ける。
「ちゃんと時間内に捕まえたわよ」
「あぁ。お前、すげぇ速いのな」
どうやらちゃんと認めてもらえたらしい。
とは言っても、これでわかったのは江湖の脚力が並外れているという事だけで、戦闘能力はわからないのだが。
オファニエルはそれでもよかったらしい。
後から知ったが、翼の生えている種族は"速さ=強さ"という考えらしい。
「じゃ、俺は花枝ちゃんのところに戻るわね」
「え、俺も行く」
……これは懐かれたのだろうか。
ふよふよとこちらへ来るオファニエルに小さく笑み、江湖は花枝とネムレスのところへ向かった。
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