第5走

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────…… ガッ 「捕まえたわ」 「え、ちょっ」 屋根の上を飛んでいたオファニエルの背中に飛び乗り、首を押さえつける。 少々(?)乱暴な捕まえ方になってしまったが、うまく止まれなかったのだから仕方ない。 江湖は飛びづらそうにするオファニエルの背中でフゥ、と息を吐く。 「おまっ、落ちる落ちる!」 そんな慌てた声に目をやると、確かに少しずつだが降下していた。 どうやら人を背に乗せて運ぶ事はできないらしい。 「あら、ごめんなさい」 「……死ぬかと思った」 ストン、と近くの屋根に着地する江湖の数メートル横に座り込むオファニエル。 そんな大袈裟な、とは思ったものの、誰だって背中に突然衝撃がきたらこうなるか。 まぁなかなか自分が飛んでいるということはないのだが。 なかなかというよりまったくない事を思いながら、江湖はオファニエルに目を向ける。 「ちゃんと時間内に捕まえたわよ」 「あぁ。お前、すげぇ速いのな」 どうやらちゃんと認めてもらえたらしい。 とは言っても、これでわかったのは江湖の脚力が並外れているという事だけで、戦闘能力はわからないのだが。 オファニエルはそれでもよかったらしい。 後から知ったが、翼の生えている種族は"速さ=強さ"という考えらしい。 「じゃ、俺は花枝ちゃんのところに戻るわね」 「え、俺も行く」 ……これは懐かれたのだろうか。 ふよふよとこちらへ来るオファニエルに小さく笑み、江湖は花枝とネムレスのところへ向かった。
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