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「ちゃんと捕まえたみたいだね」
「おーおつかれさん」
花枝は先程と変わらず空中に浮きながら、何やらスマホらしきものを懐に仕舞った。
さっきのテレビといい、一体どこから出しているのだろう。
ネムレスはネムレスで、屋根に寝転んで未だに半裸だ。
花枝は注意しなかったのだろうか。
「ちょっと、エコりんから離れろよクソ天使」
「あー?俺がどこにいようが俺の勝手だろ」
「何言ってんだし!!エコりんの隣は俺って決まってーんの!」
「勝手に言ってろ」
「まったく、召喚主が召喚主なら使い魔も使い魔だよなー」
やんなっちゃうなもー。と続ける花枝は、ヤレヤレとでも言いたげに肩を竦めた。
どうやらこの2人はウマが合わないらしい。
そう結論づけた江湖は2人を放置してネムレスの元へ向かう。
「お待たせ、ネムレス。相談って何かしら?」
「あー、そーなんよ。俺の兄貴が誘拐されてな、今探しとるんよ」
サラッと言ったが、それは結構深刻な問題なのではなかろうか。
江湖は思わず数秒フリーズしてしまった。
「誘拐?!」
「これ見てみ」
1人アタフタしている江湖の前に、自分の兄が誘拐されたというのに冷静なネムレスは1枚の紙を差し出した。
とは言っても、江湖はこの世界の文字は読めない。
ので、未だに口喧嘩をしていた花枝を引っ張ってきて読ませる。
その紙には、"不穏分子は我々が排除した"という一言と、右下に妙なマークが描かれていた。
太陽のような、月のような。
真ん中に目ん玉のようなものが描いてあり、なんだか不気味だ。
「何かしら、これ」
「エコ知らんの?今流行りの"排除者"の印」
「"排除者"?」
「この世界に不必要なもんを排除してこーっち考えちょる変な組織なんよ」
「アレだよエコりん。宗教団体みてーなの」
要は自分らに不都合なものは排除っつーイカれた奴らな!と続ける花枝に、江湖はその紙を凝視する。
そんなものが今流行りでいいのだろうか。
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