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いや、いい訳はないのだが、こうにも冷静にぶっ飛んだ事を言われると困惑してくる。
江湖はとりあえず、その紙をネムレスに返した。
「そんでなー、俺1人で助けに行くのも無謀やん。助けてくれん?」
「え、っと、それは警察に行ったほうがいいんじゃないかしら」
「警察っち、なん?」
「えぇっと、」
「この世界だとギルドがそんな感じ」
やっぱりこちらでの警察はギルドの人達らしい。
花枝のフォローに、江湖は納得したように頷いた。
「あー、あんなんマトモに取り合ってくれんて。"排除者"の名前出さんかったらわからんがな」
金もないし、とため息を吐くネムレスに、江湖は首を傾げる。
どうやらギルドに依頼を出すにはそれなりのお金がかかるらしい。
"排除者"の名前を出すのと出さないのとではだいぶ依頼料に差が出るらしいが、名前を出せば誰も依頼を受けようとはしないし、名前を出さなければ無駄に死人が出るとか。
そんな凶悪犯罪者達(たぶん)に立ち向かえと言われても、江湖は首を横に振るしかなかった。
誘拐されたそのネムレスのお兄さんには申し訳ないが、力になれる気はまったくしなかった。
「俺にそんなこと言われても……」
「えー、俺の目に狂いはないっちゃ。エコならいけるて」
「何を根拠に……」
「俺の勘がそう言っとる」
それは根拠になり得るのだろうか。
江湖は能天気にカラカラ笑うネムレスに目を向けてため息を吐いた。
「ちょっと、何俺らそっちのけで話進めてーんの!!そんな危険なとこにエコりん行かせるわけないっしょ!」
「そーだそーだ!エコは俺とまた勝負するんだぞー」
「それはないわー」
どうしてもウマが合わないのか、取っ組み合いながらもこちらに首を突っ込む花枝とオファニエル。
なんだか静かだと思ったら空中で取っ組みあっていたのか。
江湖はそれを見てもう一度ため息を吐いた。
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