第2走

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石像に見送られて、たぶん異世界。 何も話を聞いていなかった訳じゃない。 自分がどういう状況にあるのかの把握はしている、つもりだ。 理解と納得はまったくの別物だけど、と、目の前に広がる星空を、江湖は寝転がった状態でしばらく見ていた。 何も、自分から寝転がっていた訳じゃない。 気がついたら、ここに倒れていたのだ。 「……もう、嫌ぁね」 江湖はため息を吐きながら立ち上がり、背中についた土を叩く。 さて、ここはどこだろう。 見渡す限りでは、ここは草原のようだった。 「……だーれも、いないわねぇ」 せっかくなので、石像にもらった力とやらを試してみる事にする。 もらったものは、試したくなるのが人間ってものよね。 と、江湖は軽く地面を蹴って走ってみる。 「自分が怖いわ……」 新幹線よりも速いだろう自分の足に、江湖は思わず頭を抱えた。 それに、身体能力だけじゃなく、反射神経も強化されているらしい。 ものすごい速さで走っても、周りの景色はハッキリ見える。 あの石像、余計な事を……とは思うが、反射神経が強化されていなくては、自分がどこを走っているかわからなくなっていそうだったので、感謝すべきか、と江湖はため息を吐いた。 「ん?」 2キロ程の距離を軽く走った江湖は、何かの気配を感じて顔をあげる。 危機察知能力が働いていない、という事は、危険は少ないという事なのだろうが。 行ってみるべきか、無視するべきか。 まぁ、暇だし、様子を見に行ってみるか、と江湖は歩いてその場所まで向かう。
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