第12走

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「そんな事はないと信じたいわね」 「んぁ?なんて?」 「なんでもないわ」 小さく呟いた言葉に、少しマヌケな反応を返したユオ。 それに小さく笑えば、カシカシと頭をかいて小さくため息を吐く。 「俺には、アンタも泣いてるよーに見えるんだけど」 「え?」 「アンタの……コアの、想いも言ってみろよ」 ぶっきらぼうでも、優しい言葉。 なるほど、江湖が懐いたのもよくわかる。 稀に見る、綺麗な魂の持ち主だ。 ふふ、と思わず小さく笑ってしまったコアに、不思議そうに首を傾げるユオ。 「じゃあ、お言葉に甘えて少しだけ」と前置きをして、コアはそっと胸に手を当てる。 「俺が、産まれてすぐ死ぬはずだったこの子を生かしたっていう話、覚えてる?」 「あぁ」 「運命、なんてものは"こう"でなければいけないとか。そういうものではなくてね。この子を生かしたそれも、この子の運命だったのよ。 「そう、俺は思っているのだけれど。 「江湖は、どうかわからないから、少しだけ怖い。 「"もしも、江湖( オレ)( コア)の干渉を受けずに、産まれてすぐに死んでしまっていたら"。 "もしかしたら、両親は夫婦円満だったかもしれない" "もしかしたら、千切 龍人は死ななくてすんだかもしれない" 「そういう後悔が、江湖を苦しめているのだとしたら。江湖を苦しめている原因は、すべて俺にあるんじゃないか? 「俺が、人間の子を生かしたから、「バーカ」」 沈みそうになる瞬間、パシッと頭を叩かれる。 びっくりして思わず顔を上げれば、呆れたようにこちらを見るユオがいた。 「お前ら二人ともバカだな。下しか向けねーのか」 言われている意味がわからず、パチパチと瞬きを繰り返す。
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